幼稚園と保育園のちがいとは(その1)
日本中に幼稚園や保育所がありますが、制度上や利用上、どういった違いがあるのでしょうか。
ここでは、その基本的な違いについてまとめています。
(保育園と呼ばれる方が多いですが、法律上は「保育所」が正式名称ですので、ここでは保育所としています。)
なお、認定こども園については、以下の記事を参照ください。
基本的な点をいくつか比較して、以下にまとめています。
1.制度上のちがい
幼稚園 |
項目 |
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学校教育法に基づく 学校 |
根拠等 |
児童福祉法に基づく |
義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること (『学校教育法』第22条) |
目的 |
保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うこと (『児童福祉法』第39条) |
〇家庭では体験できない社会・文化・自然などに触れ、教師に支えられながら、幼児期なりの世界の豊かさに出会う場 〇幼児の自発的な活動としての遊びを十分に確保することで ・遊びの中で能動的に対象に関わることによる自己の表出 ・外の世界に対する好奇心を育み、探索し、物事について思考し、知識を蓄えるための基礎の形成 ・ものや人との関わりにおける自己表出を通じた自我の形成と、自分を取り巻く社会への感覚の養成 〇その後の学校教育全体の生活や学習の基盤を培う 〇幼児期の教育のセンターとしての役割を家庭や地域との関係において果たす (『幼稚園教育要領解説』より要約)
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役割
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〇保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場であること 〇保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うこと 〇入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行うこと (『保育所保育指針』より要約) |
※なお、保育における養護とは、子どもたちの生命を保持し、その情緒の安定を図るための保育士等による細やかな配慮の下での援助や関わりを総称するもの
養護と教育を一体的に展開するということは、保育士等が子どもを一人の人間として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくよう丁寧に援助することを指す。
(『保育所保育指針解説』より要約)
2.利用上のちがい
次に、利用上のちがいについてです。
たとえば、「幼稚園でも預かり保育をしているから、預けられる時間は保育所と同じ」と言われることもありますが、土曜日はどうですか、夏休みはどうですか、と聞いていくと、異なることもあります。
警報発令時はどうか、など預ける立場としては先に確認しておきたいところではないでしょうか。
幼稚園 |
項目 |
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幼稚園教諭 |
先生 |
保育士 |
選考は幼稚園で行う |
入園資格 ・選考 |
まず、保育が必要だという要件(仕事、介護、病気など)が必要。 その上で役所が選考を行い、状況がより切迫していて優先度が高いと認められる家庭の子どもから入園 |
4時間を標準に各園で定めた時間 (加えてその前後の時間に「預かり保育」) |
保育時間 |
保育認定の状況により、①保育標準時間(11時間)、②保育短時間(8時間)に分かれる (加えてその前後の時間に「延長保育」) |
幼稚園の預かり保育は、家庭や地域が行う教育の代替としての位置づけ (勤務証明書などは基本不要) |
延長保育(預かり保育) の位置づけ |
保育が必要な時間が長いために、保育所が保護者に代わって保育するという位置づけ (勤務証明書などを提出) |
予定の教育課程を修了するためにも、警報発令時などの休園や病気や忌引などを除いて登園すべき |
出席の 考え方 |
保育が必要な児童を保育が必要な時間だけ保育することが基本。その基本の上で、児童の発育などを考慮して、そのほかの日の利用を所長や役所が認めることもあり |
警報発令時は基本的に休園 |
警報発令など荒天時の対応 |
警報でも保護者の職場が休みになるわけではないので、警報発令のみで休園にはできない。立地や地域の実情、避難勧告などに応じ、休園や早めの迎えや安全な場所への避難を行う |
なお、続きは、「幼稚園と保育所のちがいとは?(その2)」にまとめています。