【書籍販売中】自治体職員が書いた子ども・子育て支援新制度の基礎がわかる本

自治体職員が書いた 子ども・子育て支援新制度の基礎がわかる本」

~「子どもの最善の利益」
認定こども園化」
「待機児童」
「保育の質」
「保育の保障」
をどうしていくのか~

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私たちの地域にある子育て支援サービス!(その2)

子育て支援サービスについて、以下の記事に引き続きまとめています。

kobe-kosodate.hatenablog.com

③日々通園して療育を受けたい

「療育」とは、医療の「療」と教育の「育」を組み合わせたものであり、障害や疾患のある子どもに対するサービスには、医療と教育の両方をバランスよく提供する必要性があることを意図した言葉である。

(『児童家庭福祉論 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度』全国社会福祉協議会

保育所や幼稚園、認定こども園の一部で障害児の受け入れが行われている一方、専門的療育の機能を持ち、発達の遅れや偏り、障がいのある子どもの通所を対象とした施設として、規模の大きい児童発達支援センターと、小規模で地域密着型の児童発達支援事業所があります。

どちらも障害児に対し、日常生活における基本的な動作を指導し、知識・技能を与え、集団生活への適応を訓練するなど必要な支援(医療型の場合、治療も含む)を行うものです。

(1)児童発達支援センター

児童発達支援センターは、センター的な機能として、障がいの種類に関わらず適切なサポートが受けられるよう、関係機関等と連携を図りながら重層的に支援する役割も持っています。

すなわち、日々通園する子どもやその家族に対するサポートのみならず、施設の有する専門機能を活かし、地域の相談対応や、他の施設・事業所への援助や助言も行います。

(2)児童発達支援事業所

児童発達支援事業所は、できる限り身近な場所で支援を受けられるよう、地域において、日々通園する子どもやその家族に対して身近な療育の場を提供するものです。

④スポットで保育を受けたい

パート就労や非常勤勤務等雇用形態の多様化に加え、さまざまな保育ニーズにきめこまかく対応できるよう、これまで見てきた日常的な利用のほか、非定期的な利用についても制度が徐々に拡充され、現在に至っていますが、地域によってはまだ数やサービスが不足している現状です。

(1)教育・保育施設等(再掲)

パート就労や用事、育児疲れ等、さまざまな保護者の必要性に応じて、たとえば週に数日など必要な事由に応じた期間を保育します。

(2)病児保育施設

子どもが病気にかかり保育所等で他の児童との集団生活が困難なときに、保育所等に代わって保育します。

(3)ファミリーサポートセンター

「子育ての応援をしてほしい」子育て家庭と「応援をしたい」地域の人が前もって会員登録しておくことで、保育所等や学童保育の迎えに家族が間に合わない時間を代わりに保育をしたり、保護者の急な用事や病気のとき等に代わりに世話をするといったサポートを行います。

(4)児童養護施設乳児院・母子生活支援施設

子育てリフレッシュステイ事業として、保護者の育児疲れや病気・出産の場合等幅広い理由での一時的な保育を行っています。宿泊を伴うショートステイと、一日のうち一定時間保育するデイサービスがあります。

⑤放課後の居場所・療育の提供を受けたい

働く女性の増加や子どもを取り巻く環境の変化により、子どもたちの安心・安全な居場所づくりがより一層必要となっており、留守家庭の小学生を対象として学童保育がなされています。また、療育としては放課後等デイサービス事業所があります。

(1)学童保育施設

留守家庭の小学生を対象に、児童館や小学校等に設置した学童保育コーナー、地域で自主的に運営している学童保育所を、家庭のように過ごすことができる場所、伸び伸びと遊べる場所として提供しています。

(2)放課後等デイサービス事業所

学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後や夏休み等における居場所づくりを推進することを目的とする事業所です。

障害児の保護者の仕事と家庭の両立、親の一時的な休息のサポートを行う観点も踏まえつつ、発達に必要な訓練や社会交流の促進その他のサポートを行います。

⑥親子で利用したい

ここまでは、「子どもを預かる」サービスが中心でした。しかし、2歳までの子どもで保育所等に通う子どもは全国的に36.6%で、3歳までの子どもの3分の2ほどは、ふだん家で家族と一緒にいる、いわゆる「在宅育児家庭」であることが、厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」(平成30(2018)年4月1日)で示されています。

国は、これまでもさまざまな計画を立てて少子化対策に取り組んできていますが、「子どもを預かる」サービス以外にも力を入れています。

その代表的なものが地域子育て支援拠点であり、たとえば児童館や地域子育て支援センター、保育士等養成大学があります。

(1)児童館

主に午前中は、子どもや親が自由に利用できる地域子育て支援拠点として、乳幼児の親子に対し、登録制や自由参加型の行事・イベントを実施しています。

また、学校の放課後には学童保育を行っています。そのほか、神戸市には拠点児童館があり、楽しく子育てをするための保護者向け講座や専門職向け講座を実施する等しています。

(2)地域子育て支援センター

地域の子育て情報の収集・提供や、子育てサークルへの支援を行っているほか、子育てに関する相談に応じ、講座・行事等も実施しています。神戸市では、区役所や一部の保育所認定こども園に設置されています。

(3)保育士養成校の指定を受けている大学等

保育士養成校の指定を受けている市内の大学等に、乳幼児が自由に遊べるスペースを設け、大学の学生が実践の場として関わりつつ、子育て中の親子が集える場所の提供を行っています。

まとめ

以上は、「神戸市子ども・子育て支援事業計画」を基に障害児通所支援等を加えてリストアップしたものです。

ほかにも自治体によってさまざまなサービスやサポートがあるほか、それぞれの名称も異なっていると思います。

また、そのほかにも、インフォーマルな地域主体のさまざまな支援があります。

その点をご了承いただきながら、参考にしていただければと思います。

認定こども園とは?

認定こども園」というものが日本中に増えています。

もともとは幼稚園とか保育所(保育園)が多かったのですが。

この記事では、認定こども園についての制度の基礎をまとめています。

1.「認定こども園」制度は平成27年度に改まった

認定こども園は平成18(2006)年に始まった園であり、平成27(2015)年の子ども・子育て支援新制度により大幅に制度改正されました。これまでの幼稚園と保育所、どちらに通園する家庭の子どもも利用できるような園です。

認定こども園は、幼稚園でも保育所でもない新たな第三の施設類型を設けるものではなく、むしろ就学前の教育・保育に関する多様なニーズへの対応に求められる機能に着目し、幼稚園や保育所等がその機能を保持したまま認定こども園の認定を受ける仕組み

(『保育所運営ハンドブック 平成29年版』中央法規)

2.認定こども園には4通りある

ひとくちに認定こども園といっても、実は4通りあります。

(1)幼保連携型認定こども園

(2)幼稚園型認定こども園

(3)保育所認定こども園

(4)地域裁量型認定こども園

(1)幼保連携型認定こども園

 学校(幼稚園)と児童福祉施設保育所)としての役割が一体となった、単一の園です。

(2)幼稚園型認定こども園

 幼稚園(学校)に保育所機能(保育所認可は受けていないが、保育所のような機能を満たすための敷地部分)を足した園です。

(3)保育所認定こども園

 保育所児童福祉施設)に幼稚園機能(幼稚園認可は受けていないが、幼稚園のような機能を満たすための敷地部分)を足した園です。

(4)地域裁量型認定こども園

 幼稚園機能(幼稚園認可は受けていないが、幼稚園のような機能を満たすための敷地部分)と、保育所機能(保育所認可は受けていないが、保育所のような機能を満たすための敷地部分)を足した園です。

 ここで、「幼稚園や保育所とはそもそも何か?」については、以下の記事を参照ください。

kobe-kosodate.hatenablog.com

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3.認定こども園の一日の生活イメージ

 認定こども園は、幼稚園に通うような子どもも保育所に通うような子どももどちらも通園できる園です。具体的にはどういうことでしょうか。

 一例として、ある園の一日の生活を下図で示します。

 専業主婦(主夫)家庭やときどきのパート就労の日だけ預かり保育が要るような家庭は、基本的に昼過ぎまでが通常の保育時間です(図の「保育時間①」)。

 この場合は、教育標準時間認定(1号認定)を受けて利用します。

 一方、共働きでどちらもフルタイム就労の家庭や、親族の介護、看護、その他保育が必要な認定を受けて(保育認定:2号認定や3号認定)利用する場合は、図では、「保育時間②」になります。

 認定こども園では、それぞれ、教育標準時間認定の子どもは定員何人で、保育認定の子どもは定員何人ですよ、と分けて定員設定しており、その範囲で、幼稚園に行くような昼過ぎまで(+時々の預かり保育)の家庭も、保育所に行くような夕方まで預けたい家庭も、利用できるようになっています。

(図:認定こども園での一日の生活例)

保育時間①

(1号認定)

 

保育時間②

(2・3号認定)

早朝預かり(希望者のみ)

7:00~

早朝預かり(希望者のみ)

7:30~

順次登園・自由遊び

順次登園

8:30~

日課活動

9:00~

日課活動・保育

弁当(給食の曜日もあり)

12:00~

給食

自由遊び

13:00~

自由遊び

順次降園

午後預かり(希望者のみ)

13:30~

お昼寝・おやつ・自由遊び

~18:30

順次降園

~19:00

夕方預かり(希望者のみ)

子育て支援の施策を作る人が知っておくべきこと。そもそも「子ども・子育て支援」の定義は?

「子ども・子育て支援」という言葉があります。

昨今、子育て支援としてそれぞれの自治体がさまざまな施策を打ち出していっていますが、この記事は、この言葉の定義的なところから、子ども・子育て支援の方向性についてまとめています。

1.「子ども・子育て支援」の定義 

 『子ども・子育て支援法に基づく基本指針』には、「子ども・子育て支援とは、保護者の育児を肩代わりするものではなく、(中略)親としての成長を支援し、子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じることができるような支援をしていくことである。このような支援により、より良い親子関係を形成していくことは、子どものより良い育ちを実現することに他ならない」とあります。

 この文章を、分解して図示すると次のようになります。

「子ども・子育て支援

→「親の成長支援」

→「より良い親子関係づくり」

→「子どものより良い育ち(子どもの最善の利益)の実現」

2.あるべき施策の方向性

「子どものより良い育ち(子どもの最善の利益)の実現」に向いた「親や社会(労働環境など)のニーズ」は満たすように役所として推しすすめるべきであり、「より良い親子関係づくり」に矢印が向かないような「親や社会のニーズ」は相手にしないというのが、「やるべき子ども・子育て支援かどうかの判断基準」ではないでしょうか。

これを知らずに保育行政や幼児教育行政は語れない。平成27年から始まった「子ども・子育て支援新制度」のほんとうのメリットは?

平成27年度にはじまった「子ども・子育て支援新制度」。

幼稚園でも長時間子どもを保育するような「幼稚園の認定こども園化」が進んだり、保育所より小さな規模の「小規模保育事業所」が増えたりと、待機児童解消に向けた、供給の確保が主目的のように批評されていますが、実際のところどうなのでしょうか。

この記事では、制度設計にたずさわった人間として実感した、この「子ども・子育て支援新制度」のメリットについてまとめています。

1.市町村が「公・私・幼・保」とつながった

新制度で役所がやらねばならないこと、できることは格段に増えました。

また、これまで都道府県の所管であった私立幼稚園を利用する子どもについても、新制度に移ってきた私立幼稚園の利用にあたっては市町村で支給認定をすることとなりました。

加えて、各自治体の首長(市長や町長、村長)とは別に、それぞれの地域の教育委員会が所管している公立の幼稚園の子どもについても、市町村が支給認定をすることになりました。

これで、すでに市町村が所管している公立・私立保育所の保育を加えると、市町村で支給認定事務をしている部署が、地域の「公・私・幼・保」をある程度、一元的に見渡せる素地ができてきたということになります。

これは、戦後これまでの幼稚園教育行政・保育所保育行政上なかったことではないでしょうか。

仮に、これまでは「どこかの誰かが手をさしのべているだろう」として、「うちの所管ではないですね」「うちでは受けられないですね」と、ほかの組織や国や県の電話番号をお伝えして、対応をしてこなかったものがあったとしたら、もうそういう状況ではなくなりつつあるということです。

子どもの権利や教育の平等を考えたとき、さまざまな境遇の家庭・子どもについて、役所は全児童を視野に入れて考えていかなければならない。いや、それが役所にやる気と能力、そして園や地域の協力があれば、できる土台ができつつあるのだといえるのではないでしょうか。  

たとえば、障がいのあるお子さん。たとえば、医療的ケアの必要なお子さん。多額の入園金を支払えない家庭のお子さんなど、それぞれの状況で、その家庭が共働きであったり、親の介護で大変であったり、ひとり親で親族の助けを得られない場合など、そのほかさまざまな家庭の状況があります。それに対して、あなたの地域ではどこで教育を受けさせてくれますか。どこで保育をしてくれますか。

市町村は、もう都道府県や国のせいにできなくなりつつあるのではないでしょうか。

なぜなら、市町村が「支給認定」するからです。

保育が要ると認定しています。教育を受けられると認定しています。

認定する以上、それだけの受け皿を用意しなければなりません。

きちんと『保育所保育指針』や『幼稚園教育要領』を守っている園を用意しなければなりません。

そして、さまざまな「訳ありの家庭」(園への新制度の説明会の際に、園側からこのようなフレーズを使われたこと自体が私はショックでした)でもきちんと受け入れて、親子ともども育ちを根気よく見守ることができる園を用意しなければならないのです。

また、一方で役所は、園の特色を重んじてよく理解して、保護者のニーズにあわせて相談に応じ、公正に情報提供を行う体制も必要であり、これも大変な任務です。

2.市町村の責任が明確化された

以上のようなことから、ボールはすでに国から地方に投げられています。

もはや、公立がどうとか私立がどうとか、社会福祉法人や学校法人がどうで株式会社立ならどうだとかそんな白黒の議論ではなく、「事業計画で計算している受け皿は、さまざまな意味で公共的責任がある」ことを、まず事業計画を策定している役所自身が認識しなければなりません。

財政面、制度面でまだまだ国に改善を要望すべきことは多々ありますが、基本的に国は2分の1、都道府県は4分の1、それぞれ費用を出すから(費用を出すといってももとは国民の税金ですが)、あとは市町村の責任でがんばれというのがこの新制度です。

国の新制度を案内するパンフレットなどには待機児童解消などと並べてほぼ必ず「市町村が実施主体 ~市民に身近な市町村が実施主体です~」とあります。

これは、単に法律を読みくだしただけではありません。

これまでと何かしら違うから国は何度も書いているのです。この言葉の重みを役所は知らねばなりません。

もちろん、国の方針に沿って全国一律で展開していくということは大切なことです。

しかしこれだけ地方自治が進み、最終的な責任を国はとってくれるわけではありません。

もうボールは国から自治体に渡されているのです。

それに、そもそも「教育」も「保育」も、地方は国の仕事を下請けしているわけではありません。

明日の自分たちの地域をどういう方向に向かわせることが、子どもたち、ひいては子どもたちの成長後の社会の幸せにどうつながっていくのか。

役所は真剣に悩んで悩みぬいて施策を練り上げていく取り組みを今後も続けていかなければならないと思います。

私たちの地域にある子育て支援サービス!(その1)

原「因」を知る「心」と書いて「恩」と読みます。

今の私があるのは誰のおかげ(原因)かと考えると、親はもちろんのこと、たくさんのお世話になった人達のおかげであることに気づきます。

その中でも大切なスタート期の関わりが、幼稚園や保育所など子育て支援サービスに携わる先生方との関わりでしょう。

地域にはさまざまな子育て支援がありますが、それは、子どもや子どもをとりまく家庭環境が多岐にわたるからです。

この記事では、そんな子育て支援サービスについてまとめています。

子育て支援のニーズ

子育て支援のニーズを大きくまとめるならば、

大前提として、①母子共に健やかでありたい保健ニーズがあります。

また、②共働きやひとり親家庭等を理由として保育を受けたい、加えて小学校の入学に向けて幼児教育を受けたい、発達が遅れていたり、障がいがあったりして、療育を受けたいといった日常的な通園のニーズもあります。

次に、③毎日ではないが、用事や下の子の出産、育児のリフレッシュ、親の病気等の緊急時などスポットで保育を受けたいニーズ、また、④小学校に入学してから、放課後の居場所の提供を受けたい、療育を受けたいニーズもあります。

そのほか、⑤在宅で育児をしているなかで、育児のリフレッシュや子どもの成長のために、子連れで参加・利用したいニーズもあるでしょう。

そのような家庭の子育て支援ニーズに対応するために、国は法律を作り、支援のメニューや活用する園や事業をリストアップしています。

平成27(2015)年、それら子育て支援の土台となる制度面の大改正がありました。この子ども・子育て支援新制度のスタートによって、年金、医療、介護とともに、「子育て」が社会保障の柱として恒久的な財源(税金)で安定的に実施されることになりました。

支援や援助といっても、それには制度化されたフォーマルなサービスと地域の支え合いといったインフォーマルなサポートがあります。ここでは子ども・子育て支援法と児童福祉法に定める子育て支援・通所支援の代表的なフォーマル・サービスを挙げていきます。

①母子共に健やかでありたい

母子保健は、「次世代を担う子どもが心身ともに健やかに育つことができる地域社会を実現する」ことを目的に、サービス・事業の基本的な担い手として市町村保健センターが、地域住民への直接的な支援拠点となっています。

市町村保健センターでは、妊娠する前からの切れ目のない支援を目標に、母子保健法を基に、母子健康手帳の交付、妊婦健康診査の助成、新生児訪問、乳幼児健康診査といった妊産婦や乳幼児に対するサポートのほか、思春期保健として、妊娠・出産を通した命の大切さの啓発授業や、思いがけない妊娠への支援等も行っています。

子ども・子育て支援法にも、地域の子育て支援として母子保健のサポートがリストアップされており、例えば、養育支援訪問は、育児ストレス・産後うつ状態・育児ノイローゼなどによって、子育てに対して強い不安や孤立感を抱える養育者の家庭にホームヘルパーを派遣する取り組みであり、実地に、家事・育児に関する援助や助言を行っています。

②日々通園して幼児教育・保育を受けたい(1)~認定こども園・幼稚園・保育所

日々通園する小学校入学前の子どもに教育・保育を提供するものとして、教育・保育施設地域型保育事業所があります。教育・保育施設とは、認定こども園、幼稚園そして保育所です。

幼稚園は親の就労等の状況によらず主に平日昼過ぎまで保育し、保育所は親の就労等保育が必要な状況に応じて保育が必要な範囲で保育することを基本としています。

ここで重要なことは、保育所が、「地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担う」と保育所保育指針に大きく定められているのに対し、幼稚園も、幼稚園教育要領に「地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすよう努める」こととされ、どちらも単なる幼児向け経営体という枠ではなく、あくまで公共的な社会資源として地域で重要な役割を担っている点です。

詳しくは、以下を参照ください。 

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一方、認定こども園は平成18(2006)年に始まった園であり、平成27(2015)年の子ども・子育て支援新制度により大幅に制度改正されました。これまでの幼稚園と保育所、どちらに通園する家庭の子どもも利用できるような園です。

詳しくは、以下を参照ください。

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②日々通園して幼児教育・保育を受けたい(2)~地域型保育事業所など

これまでも認可保育所以外の保育資源として、地域によってさまざまな小規模保育施設や保育ママといわれるもの、赤ちゃんホーム、家庭託児所等が設けられてきました。

子ども・子育て支援新制度では、それらも国で認可ルールを設けた一定の質を確保したものにしようと、地域型保育事業所という類型をスタートさせ、それに移るよう推し進めました。

地域型保育事業所は、地域課題としての「保育所等の待機児童」と「過疎化」のいずれにも対応しようとするものです。

待機児童は、地域に散在していることが多く、利便性の良い駅の近くに保育所等を建設することが一般的に解決策となり得ますが、交通至便な場所は概して大きな土地が確保できない等の問題があります。

そこで、割合小さな敷地でもつくることができる地域型保育事業所の出番となるのです。

一方、子どもの数が減少している地域では、クラス運営が成り立たないような少人数クラスになった幼稚園と保育所認定こども園に統合することや、地域型保育事業所で特例的に小学校入学まで保育を認めることで、適切な育ちの環境としての集団保育を続けることを可能としています。

ここまでの保育所や地域型保育事業所は認可施設・認可事業ですが、そのほかにも地域にはさまざまな認可外の保育施設があります。

「認可」については、以下を参照ください。

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加えて、平成28(2016)年、国は企業主導型保育事業をスタートさせました。これは、保育する人のうち、半数未満は保育士資格を不要としながら、おおむね保育所並みの基準を満たすことを条件に、国から助成金を受けて従業員や地域の子どもを保育するものです。

認可外保育所ではありますが、事業者に対して国から助成があるため、保育料は一般の認可外保育施設よりは安い傾向にあります。

そのほか、待機児童が多い地域を中心に、自治体独自の基準を満たす園を自治体が認証するなどして「認証保育所」などの名称で運営しているものもあります。

子育て論で話題になる「3歳児神話」とは?

子育て支援に関するサービスやサポートをどうしていくかが話題になるとき、よく問題提起されるのが、

「早くから他者に子どもを預けることが、子どもの発達にとってどのような影響を及ぼすか?」

という点です。

さまざまなご意見や論調があり、専門的な見地は「餅は餅屋」の言葉どおり、専門家の先生方におゆずりするよりほかありませんが、「幼稚園の教育」と「保育所の保育」のどちらも所管する立場になった役所の人間として、この記事でふれたいと思います。

1.3歳児神話

3歳児神話」というものがあります。

「子どもは3歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」

(『平成10(1998)年 厚生白書』)

というものです。

この『厚生白書』には、「3歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」と書かれ、賛否両論の議論を呼びました。

親は「預けたい」あるいは「預けなければならない」。しかし、それは「子どもの幸せ」なのか。親のニーズと、子どもの将来にわたる必要な保育サポートとはどう考えればよいのでしょうか。

2.「一緒に買い物や本を読む機会など『家庭における育児環境』が強く関連し、『保育時間の長さ』は関連していなかった」とする研究報告も

現に保護者にも、その子育て観として、4歳からよりも3歳から、3歳からよりも2歳から集団保育を経験させてやりたい、それが子どもの成長によいという考えをお持ちの方もあります。

平成16(2004)年に出された厚生労働省の補助を受けて実施された研究では、筑波大学の安梅勅江氏が『夜間に及ぶ長時間保育に関する5年間追跡実証研究 ―3年後の発達への影響―』と題した報告書で、「3年後の子どもの発達には、「家庭における育児環境」(一緒に買い物に行く機会や本を読む機会を確保するなど)が強く関連し、『保育時間の長さ』は関連していなかった」と断定しておられます。

3.愛着形成

一方、精神科医で長く医療少年院に勤務された岡田尊司氏は、愛着形成を重視した著書を数多く出しておられますが、その中で以下のように述べています。

愛着とは、子どもと親との間に結ばれる絆である。だが、この場合の親とは遺伝的な親とは限らない。むしろ、育ての親(養育者)との間に生まれる絆だと言える。いくら血がつながっていても、その子を育てなければ、愛着は生まれない。子どもにとってもそうであるし、親にとってもそうである。愛着とは相互的な現象なのである。つまり愛着とは、後天的に獲得されるものなのである。いくら五体満足で、遺伝的には何の欠陥ももっていなくても、養育者にちゃんと育ててもらえなければ、愛着は育まれない。

(『愛着崩壊 子どもを愛せない大人たち』角川選書

私が区役所に就いたばかりのころ、窓口で保育所入所の時期の相談をされたお母さんは、1歳のころの人見知りが始まる前に早めに保育所に預けた方が送迎で泣きじゃくられることもないので「ならし保育」がしやすいし、早めに預けてしまいたい、というようなことをおっしゃいました。

しかし、それは確かにそうなんだろうけれども、それはまだ子と親の間に愛着形成が熟していない状況だということを現わしているのではないか、と考えこまざるを得なかったことを覚えています。

国の『幼保連携型認定こども園 教育・保育要領解説』には、子どもがおおむね6か月から1歳3か月未満の時期において、「6か月頃には身近な人の顔が分かり、あやしてもらうと喜んだり、愛情を込めて受容的にかかわる大人とのやり取りを盛んに楽しんだりする。そして、前期に芽生えた特定の大人との愛着関係がさらに強まり、この絆をよりどころとして、徐々に周囲の大人に働き掛けていく。この頃には、特定の大人との愛着関係が育まれている現れとして、初めて会った人や知らない人に対して泣くなど人見知りをするようになる」と書かれています。

3.まとめ

さまざまな研究報告や考え方がありますが、実際に保育施設等に子どもを託して働かなければならない親の立場は切実です。

以下の記事も参考にしていただければと思います。

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