自治体職員が書く“子育て支援・教育行政”

行政窓口で待機児童の家庭のお話をうかがったり、制度設計に奔走している者にしかわからないところを伝えたい、という思いで書いています。子どもの幸せ・親の幸せに幼児教育・保育制度はどう寄与していけるのか、一つひとつ制度を深堀(ふかぼり)していきます。

子育て支援のイロハ⑤(保育園等の入園選考「利用調整」)


 保育園や認定こども園の利用の流れの続きをみていきます。

 前回の記事は以下をご覧いただければと思います。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

1.「利用調整」が規定された経緯

 「教育・保育給付認定」を受けたということは、「給付を受け取る資格があることを認定した」ことだということを前回みていきました。

 では、この「認定」を受ければ、いつでも園は入園を認めてくれるのでしょうか。

○「1号の認定」を受けている場合

 その園にまだ空きがあれば、「幼稚園」と「認定こども園」で4時間を標準に(園が決めています)利用できます。

 一度に多くの方が申し込まれた場合には、園はあらかじめ決めたルールにしたがって選考します(抽選、早いもの順、兄弟の上の子が入園したことがある、など)。

○「2号や3号の認定(標準時間、短時間)」を受けている場合

 「2号や3号」の認定は、仕事などの事情でまとまった時間、園での保育が必要な子どもを養育する保護者が認定を受けることができますので、「2号と3号」の認定を合わせて「保育認定」とも呼びます。

 「保育認定」で利用できる園は、「認定こども園」と「保育所」、それから「地域型保育事業所」です。

 法律的な話をしますと、実は、定員を超える申し込みがあったときは、どの子どもから優先して入所するかを「園が選考する」と、『子ども・子育て支援法』に定められました

 しかし、一方、児童福祉法』には、当面のあいだ、保育が必要な子ども(「保育認定」の子ども)については、「役所が利用調整する」と定められました

 この二つの法律は、いったいどう読めばよいのでしょうか

 新制度以前、「保育所」の入所選考は役所が行っていました。

 一方、「認定こども園」については(実は「認定こども園」という制度自体は、平成18(2006)年度からありました)、そういう保育を必要とする子どもの利用する枠の入園も、園で選考して決めていました。

 新制度をつくるとき、国は当初これまでの認定こども園のやり方を引き継いで「園が選考する」法律の案としていました。

 ところが、待機児童が多い地域を中心に、保育所認定こども園を保護者がかけずりまわらなくてはならないのではないかという不安の声が多く寄せられました。

 保育研究所編の『徹底検証!保育制度改革 新制度案に子どもの未来は託せない』(ちいさいなかま社)にも、「保育所に入所できるかどうかは親の力しだい」と題し「自分で保育所を探し、入れるまで何か所でも足を運ばなければならなくなります」と、当時の案を批判しています。

 国会の審議中の平成24(2012)年6月に、民主党自民党公明党(当時の政権は民主党)は、法案の修正協議を行います。

 そうして合意された内容を「三党合意」と呼びますが、この協議において、「『保育認定』の子どもの利用については、当面のあいだ、役所で『利用調整』をすること」とされたのです。

 その後、国会の審議を経て、平成24(2012)年8月に法案成立。子ども・子育て支援新制度の法律が整備されました。

 国の制度設計担当も説明会で、「立法府(国会)の判断で『利用調整』が規定されたことは、非常に重く受け止めなければならない」と言っています。

 したがって、先ほどの二つの法律の読み方は、

  • 『子ども・子育て支援法』で、すべての園に「空きがあったら、もっともな理由がない限り、受け入れを拒否してはいけない」という義務(「応諾義務」といいます)を課した上で、「選考はあらかじめ決めた公正な方法で園でやってください」((保育所以外には)「選考権」の付与)としつつ、
  • 児童福祉(子どもの幸せ)の観点から、『児童福祉法』において「役所がきちんと優先順位をつけて、困っている家庭の子どもから責任をもって『利用調整』しなさい」と、『子ども・子育て支援法』の上に「児童福祉」の網をかぶせて、「本当に保育が必要な子ども」から優先して利用できるように役所が力を尽くすことを求めています

 実は、この「保育が必要な子どもについては、役所が利用調整しなさい」という『児童福祉法』の規定のあとに、

  • 十分な養育を受けられていない子どもの保護者が申し込みをしてこない場合は、「役所が、保育所や幼保連携型認定こども園などの申し込みを勧めたり、申し込めるようフォローしたりしなさい」
  • それでも申し込まないときは、場合によっては、「役所が、保育所や幼保連携型認定こども園への入園を決めてしまいなさい(「措置(そち)」といいます)」と、立て続けに規定されています。

 どんな家庭の子どもが優先的に利用すべきなのかは、皆さんそれぞれの価値観によって、答えもちがってくるのは当然ですが、「子どもの福祉」の観点から利用調整はなされるべきものだということを示しています

2.利用調整の基準

 「利用調整」は、保護者の希望にもとづき役所が行うものですので、希望していない園へ勝手に入園をあてがわれるということはありません。保護者の希望する園について、役所は、あらかじめ定めたルールにしたがって利用調整をします。

 国は、現在の保育制度の源流である、昭和の措置入所制度の時代から、「保育に欠ける児童(今で言うところの「保育認定」の子ども)の申し込みが、保育所の定員を超える場合は、児童の家庭の構成(たとえば、ひとり親家庭であるとか、親以外の同居している親族が子どもを保育できないのかどうか)や、親の就労時間などの状況を十分把握して、入所する児童を決めなさい」と自治体に指導してきました。

 また、「その決定にあたっては、画一的な書面審査に頼ることなく、必要に応じて必ず実地調査を行いなさい」としてきました。

 私は選考作業の一環として、待機児童のおかれている現状の確認のために、その子どもの家庭が営む事業所や農作業の場を訪問したことがありますが、百聞は一見に如かずというように、入庁したての私には非常に勉強になりました。

 利用調整では公平性や透明性が求められるため、家庭での保育が困難な度合いを点数化して利用調整している役所が現在は多いですが、これまでの選考の趣旨を引き継いで、親の就労時間などの状況や、ひとり親であるか否か、同居する親族の状況などを点数化していたり、現在の保育状況(認可外保育施設を利用している、など)や、申し込みの子どもの兄弟・姉妹がどこで保育されているかなども点数化したり、さまざまに項目を設けて優先度合いを判断しようとしています。

 新制度において、国は優先度の高い例として、①虐待が疑われる、②配偶者間などで家庭内暴力(DV)のおそれがある、③ひとり親家庭、④生活保護世帯で就労による自立支援につながる場合、⑤障がいのある子どもの利用できる園が制限されている場合、⑥育休明け、⑦多子世帯 など、さまざまな事例を挙げており、役所はそれらについても考慮した点数表やルールを作っています。

 利用調整の点数表などは、「審査基準」といえるものですので、窓口に備えつけるなど市民の目にふれるようになっています。

3.利用調整の趣旨

 この利用調整は、役所としても精神的に非常に労力を費やすものですが、どの子どもも保育認定を受けている以上、保育が必要な状況であることに変わりはなく、利用資格がある中での順位付けは、入園できなかった親にとっては、どうしても納得しづらいものであることは否めません。

 この点数は、家庭での保育が困難な「現状」の度合いを相対化するために設けているものですので、親の「努力」を評価するような趣旨の点数ではありません。

 しかし、保育所等に入れないと働くこともできないため親も必死ですし、ネット上では「保育所合格最低点は200点」だとして、「点数をどうやって上げるかが保活の鍵」などとさまざまな口コミがあふれています。

 ほかにも、「点数が高くないと入れない園の市内上位20位に、うちの園がランクインしました」とブログで胸を張る園の運営者があらわれているのを見ると、非常に複雑な気持ちになります。

4.まとめ

 優先順位の決め方について、市にもさまざまなご提案を頂戴します。

 たとえば、「国が女性の活躍というのだから、女性が起業するような人間を優先すべきだ」「保育士不足で困っているのだから、保育士の子どもを優先すべきだ」「どんどん生んでもらいたいと国が言っているのだから、多子世帯の子を優先すべきだ」「わが市の人口減少をくいとめるために市外からの移住者を優先すべきだ」など、本当にさまざまなご意見をいただいてきました。

 『児童福祉法』やこれまでの制度運用の経緯を振り返れば、そもそもの「利用調整」は、国・役所の政策的誘導のためではなく、また、努力する親が「第一希望の園」に子どもを入園させられることに主眼が置かれた制度でもないことが見えてきます。

 保育が必要な切迫した状況があっても、「応諾義務」を園に義務付けるだけでは入園までたどりつけない親子がある可能性を前提に、その子が「どこかの通える園」で必ず保育を受けられることが眼目の制度であると読めます。

 地域によって状況はだいぶ異なると思いますが、誰もが保育認定さえ受ければ、通える距離でどこかの園には入園できる、そんな需要と供給のバランスがある程度落ち着いたころには遅くとも、現在の点数制度について、その趣旨に照らしてもう一度あり方を考え直すことが必要になることも想定されます。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

子育て支援のイロハ④(幼稚園・保育所・認定こども園等の入園に必要な「教育・保育給付認定」)

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 前回は、園を用意する流れとして、「整備」⇒「認可・確認」とみていきました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 次は、その園を利用する方の流れをみていきます。

 

 国では「こども庁」の創設の検討と相まって、幼稚園や保育所を一元的にカバーすることについて議論が再び盛り上がって消えました。。。

 その理解の前提として、現在の入園手続きや園の運営費の補てん(給付)の土台となっている「教育・保育給付認定」についてみていきます。

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1.そもそも「給付」とは

 「給付」とは平たい言葉でいうと「与える」ということです。現金やモノを与えることを「給付」といいます。

 「子どものための教育・保育給付」は、保育所・幼稚園(のうち新制度の園)・認定こども園・地域型保育事業所という新制度でリストアップされた園に通園するのに必要な経費の一部を、国・県・市が保護者の代わりに現金を「給付」して補てんするという制度です。

 これにより、初めて幼稚園と保育所が運営面で同一の仕組みに乗ることになりました。

2.園を利用するためには「教育・保育給付認定」が必要

 新制度の園(認定こども園、幼稚園(の一部)、保育所、地域型保育事業所の4つです)を利用するときは、「教育・保育給付認定」というものを受ける必要があります

 「教育・保育給付認定」の申請書にもろもろの書類を添えて役所に提出し、役所が審査した上で認定します。

 先述したように、新制度での保育所や幼稚園の利用は個人給付の制度です。税金として市民の皆さんから集めたお金を、特定の方(今回は園を利用する子どもの保護者)に給付するからには、「その保護者が給付を受け取る資格があるかどうかきちんと認定する」という作業が役所には生じます。

3.保育所利用の要件を全国でそろえる狙いもある

 また、これまでの保育所を申し込みできる条件のレベルは、実際には細かい点で地域でまちまちでした。

 ある市町村では幼稚園の代わりのように、子育てできない仕事の時間がほとんどないような人でも保育所が使えるのに、別の市町村では待機児童が多いこともあってか入所要件がきびしく、申し込みすらできないといったことがなくなるように、この「教育・保育給付認定」の基準をある程度国の統一的なルールとすることで、「全国的な公平性の確保の観点から、極力、収れん・一本化していく」ことを目指しています

4.認定によって利用できる時間が異なる

 「教育・保育給付認定」は、大きく1号、2号、3号の3種類があります。

 なぜそう言うかといいますと、『子ども・子育て支援法』第19条第1項の1号、2号、3号に、それぞれ定めがあるからです。2号と3号は、それぞれ「保育標準時間認定」と「保育短時間認定」がありますので、それも分けると、全部で「教育・保育給付認定」は5種類あります。

 それぞれの認定で、園を利用できる時間が異なります。

(1)1号認定(教育標準時間認定)

 満3歳以上の子どもを養育している保護者が認定を受けることができます。

 幼稚園では教育課程を編成しており、年間39週以上、1日4時間を標準に、各園で定めた時間、教育を行うことになっています(『幼稚園教育要領』)。

 1号認定は、ちょうど幼稚園に通園するような子どもの認定ですので、同様に1日4時間を標準に利用できることになっています。

(2)2号認定(保育標準時間認定)

 1か月で120時間以上仕事をしているなど、まとまった時間、園での保育が必要な満3歳以上の子どもを養育している保護者が認定を受けることができます。

 この認定を受けると、保育が必要な範囲内で、園があらかじめ定める11時間の枠を利用できます。これまで保育所では、11時間を超えて延長保育を行っている園に対して、国から延長保育についての補助金の制度がありました。それも踏まえて、1日11時間というところで線が引かれています。

(3)3号認定(保育標準時間認定)

 (2)は満3歳以上の子どもの家庭が対象でした。この3号認定は、満3歳未満の子どもの家庭が対象になります。あとの要件は(2)2号認定(保育標準時間認定)と同じです。

(4)2号認定(保育短時間認定)

 仕事などの事情で、まとまった時間、園での保育が必要な満3歳以上の子どもを養育している保護者が認定を受けることができます。

 たとえば就労の場合、この認定を受けるために最低限何時間就労していることが必要かは役所で異なります。1か月あたり48時間から64時間の範囲で、役所で定めることになっています。

 この認定を受けると、保育が必要な範囲内で、園があらかじめ定める8時間の枠を利用できます。保育所では、「保育時間は、1日8時間を原則に所長が定める」(『児童福祉施設の設備及び運営に関する基準』)ことになっていますので、それを踏まえたものです。

(5)3号認定(保育短時間認定)

 (4)は満3歳以上の子どもの家庭が対象でした。この3号認定は、満3歳未満の子どもの家庭が対象になります。あとの要件は(4)2号認定(保育短時間認定)と同じです。

5.1~3号認定以外の教育・保育の無償化を受けるための「施設等利用給付認定」(新1号、新2号、新3号)

 保護者が受ける「認定」には、この「教育・保育給付認定」のほか、「幼児教育・保育の無償化」により創設された「施設等利用給付認定」があります。

 これは、『子ども・子育て支援法』第30の4の1号、2号、3号に、それぞれ定めがあり、それぞれ新1号、新2号、新3号と言います。

 これらについては、幼児教育・保育の無償化についての以下の記事も参考にしていただければと思います。

 

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

6.まとめ

 「教育・保育給付認定」ができ、はじめて「サービス(サービスという言葉が合わないところもありますが)を受ける必要性があると認定を受けた家庭は、認定内容に応じて園を利用できる」という同じルールに、幼稚園・保育所認定こども園が乗ったことになりました。

 これによって、入園手続きの大きい区分けは、幼稚園・保育所認定こども園・地域型保育事業所という園の種類ではなくなりました。

 どの園でも「教育・保育給付認定」を受けて利用するという大きい括りの中で、

  • ①『仕事などで朝から夕方まで利用する』0~5歳児クラスか(保育所認定こども園・地域型保育事業所)
  • ②『朝から昼すぎまで利用する』3~5歳児クラスか(幼稚園・認定こども園

という、利用時間の視点に変わったところが大きな特徴です。

 加えて①(『仕事などで朝から夕方まで利用する』0~5歳児クラス)については、役所が利用調整(いわゆる「選考」)して入園者を内定する必要がありますが、その「利用調整」についても、基本的にはこの認定制度導入により、園の種類にかかわらず一体で役所が「利用調整」できるようになったのです。

 「利用調整」については、改めてみていきます。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

子育て支援のイロハ③(保育園や幼稚園の「認可」とは)

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 認可保育園や、認可外保育園、無認可保育園と言う言葉がありますが、「認可」とはそもそも何か、また、平成27年度にスタートした「子ども・子育て支援新制度」で始まった「確認」について見ていきます。

 関連するこれまでの記事は以下を参考いただければ幸いです。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

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1.「認可」とは

 認可保育園や認可幼稚園として運営しようと思うならば、自治体が審議会(大学の先生や園の先生方の代表などの専門の皆さんのあつまり)に意見を求めた上で、基準(面積基準、職員配置基準、保育指針や教育要領の遵守など)を守って運営を行うものと「認」められ、安心して持続的に経営「可」能だとして、「認可」しなければ、開園(経営)することができません。

 なお、認可を受けずに同じような目的の事業を行うことも可能ですが、それが保育施設の場合、いわゆる「認可外保育所」と呼ばれます。

認可を受けなければ、「幼稚園」や「幼保連携型認定こども園」と名乗ることはできませんが、「保育園」や「保育所」は、認可されなくても、名乗ることが可能です。

2.「確認」とは

 「確認」は何を確認しているのかといいますと、「(市町村が)利用定員を確認する」ということです。

 面積や職員が足りているからといって、どの園も好き放題に子どもを受け入れて運営を行えば、過当競争につながりますし、その好き放題に受け入れた子どもの人数分だけ役所に費用を請求されても、それだけの税金を役所も用意できません。

 ですので「あなたの園では、これだけの人数分の運営規模で運営してもらってOKですよ」と確認するわけです。

 そして、その人数分の経営について税金を投入する以上、最低限守っていただく基準として「運営基準」というものがあります。

 これは、認可の基準とは別に存在します。

3.認可基準・運営基準

(1)認可基準

 開園するには、自治体から認可を受けなければならないと説明しましたが、園の種類によって、認可の基準が異なります。

 まず、認定こども園です。4類型あります。

○幼保連携型認定こども園

 学校+児童福祉施設としての単一施設ですから、幼稚園と保育所の厳しい方の基準を合わせた「認可基準」(ただしくは「幼保連携型認定こども園の学級編制及び設備・運営に関する基準」)を守る必要があります。

○幼稚園型認定こども園

 幼稚園(学校)に認可外保育所(認可されていない敷地部分)が付いた園です。

 「幼稚園の認可基準」(ただしくは「幼稚園設置基準」)と、「幼保連携型以外の認定こども園の認定基準」を守る必要があります。

保育所認定こども園

 保育所児童福祉施設)に認可外幼稚園(認可されていない敷地部分)が付いた園です。

 「保育所の認可基準」(ただしくは「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)と、「幼保連携型以外の認定こども園の認定基準」を守る必要があります。

○地方裁量型認定こども園

 認可外幼稚園と認可外保育所(どちらも認可されていない敷地)がくっついた園です。「幼保連携型以外の認定こども園の認定基準」を守る必要があります。

○幼稚園

 満3歳以降の子どもを教育する園として、「幼稚園の認可基準」を守ります。

保育所

 乳児からの子どもを保育する園として、「保育所の認可基準」を守ります。

〇地域型保育事業の認可基準

 「地域型保育事業所」ですが、0歳から2歳の子どもを、基本的に少人数で保育する事業で、次の4とおりがあります。

 これらは、それぞれの認可ルールを定めた「地域型保育事業の認可基準」(ただしくは「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」)を守る必要があります。

 このルールで、特に保育所などにくらべてルールがゆるいところは、せまい敷地につくることを見込んでいるため、園庭がなくても近くで代わりの場所(公園・寺社の境内など)があれば良いとしていることや、自分の園で昼食を調理できなくても、他から適切に運んでこれたら良いとしていることなどです。

・小規模保育事業所

 少人数(6~19人)を対象に保育を行います。

 これには、大ざっぱには配置される先生が、①全員保育士であるA型、②半数以上が保育士であるB型、③保育士でなくても決められた研修を受けた先生でもOKのC型、の3類型が国から用意されています。

 ここでも、保育所と同様に0歳(乳児)の段階から「養護と教育が一体になった保育」を提供することとされており、保育所が子どもの保育内容として守るべき『保育所保育指針』に準じて保育を行っています。

・家庭的保育事業所

 家庭的な雰囲気のもとで、少人数(~5人)を対象に保育を行います。

・事業所内保育事業所

 事業所の保育施設などで従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育します。

・居宅訪問型保育事業

 医療的ケアが必要で保育所などでの集団保育が非常にきびしい子どもなど、特定の要件を満たす子どもについて、その子の居宅で保育します。

(2)運営基準

 決まった人数分の経営について税金を投入する以上、最低限守っていただく基準、すなわち「運営基準」です。

 認可の基準とは別に存在します。

 運営のルールには、大きく4点あります。

①子どもの利用開始のときのルール

 利用開始するときには、保育内容や手続きの説明をして、文書で保護者の同意をとって、契約することが必要です。また、きちんとした理由もなく入園を断ることはできません(「応諾義務」といいます)。

②教育・保育の提供についてのルール

 提供する教育や保育の内容について書かれたものに『幼保連携型認定こども園教育・保育要領』や『幼稚園教育要領』、『保育所保育指針』があります。それらを職員全員がよく読んで理解し、それにのっとった園の運営、クラス運営をすることが必要です。

 また、利用中の子どもの心身の状況はつねに心をくばり、もちろん職員が虐待などをしてはなりませんし、親の養育が不適切だ(体が不自然に傷だらけだ)とみとめられることがあれば、きちんと役所と連携して子どもを守る取り組みも必要です。

 そのほか、「地域型保育事業所」は、どうしても小規模な園の都合上、先生の人数も少なく、何か突発的なことがあったときにフォローが行き届きにくく思われること、また、さきほど示したように二歳までの子どもが利用できる園ですので、三歳以上の年齢になると、大きな園(認定こども園、幼稚園、保育所)に転園しなければならないことが保護者にとって不安です。

 そのために、「地域型保育事業所」は、「連携施設」を用意しなければならないというルールがあります。「連携施設」には、近隣の認定こども園保育所、幼稚園がなるのが一般的です。

〇連携施設の役割

 連携施設の役割は次の三つです。

1「保育内容の支援」

 連携施設の先生が、保育内容を教えにいったりする。また、共同で行事をしたりする。

2「代替保育士の提供」

 地域型保育事業所の先生が研修などの事情で手が足りないとき、連携施設の先生がフォローにいく。

3「三歳以上の受け皿」

 地域型保育事業所を卒園する子どもの人数を、連携施設側はあらかじめ見込んで、スムーズに転園できるように枠をあけておく。

〇その他

 さらに、役所が決める保育料(「利用者負担」といいます)を保護者から徴収すること以外にも、園によって、英語教室や体操教室など、さまざまな園独自で取り組む費用を別途徴収するもの(「上乗せ徴収」)や、制服代やカバン代、楽器など実費を負担してもらうもの(「実費徴収」)について、保護者の同意をきちんととって、徴収することなどが決められています。

③管理・運営についてのルール

 園の運営方針や職員数、開園時間など重要なことをまとめた「運営規程」をつくって、利用者が見えるところに掲示するなど公表します。

 また、業務上知りえた秘密をもらさない「個人情報保護」のルールを定めて職員間で徹底することや、「非常災害の対策」、「衛生管理」、「事故防止や事故発生時の対応」についてきちんと園でルール化して対応できるよう用意します。

 さらには、 よりよい運営を行うために、「自己評価」や「保護者や地域住民による外部評価(学校関係者評価)」、「第三者評価」という取り組みに努めることや、保護者などからの苦情・要望に対する「苦情解決」の窓口をきちんと用意して、対応するルールをつくっておくことも必要です。

 そのほか「会計処理」についても誤りなく行うよう決められています。

④撤退するときのルール

 最後のルールは、経営を縮小する、あるいはとりやめるという事態になった場合の、保護者に対する対応です。

 この場合、無責任に園を閉めたりせず、子どもがほかの園でスムーズに同様のサービスを継続して受けられるよう、転園のための協力をすることが求められています。

3.まとめ 

 以上が、認可と確認の概要です。

 これら認可・確認について正しく知れば、「認可施設でも認可外施設でも似たようなものだ」とか、「認可外施設への利用も促して、待機児童を減らそう」という言葉は出てこないのではないかと思います。

 また、この認可や確認に基づいて、役所はしっかりと質の確保を図っていかなければなりません。

 それについては、次の記事にも紹介しています。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

 

子育て支援のイロハ②(「整備」:保育園や認定こども園を建てるということ)

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 先回は、子ども・子育て支援の設計図にあたる「事業計画」について見ていきました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 その続きについて、これまでの経過を見ていきます。

1.計画どおりに園を用意(整備)する

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 次の積み木は、「整備」という名前の積み木です。

 これを役所や法人の理事長先生、園長先生に手伝ってもらって、①事業計画の上に置きます(図2)。

 整備には、施設の大規模な修繕や老朽改築などもありますが、ここで取り上げる「整備」は、

  1. 新たに保育所認定こども園などを建てたり、(新設)
  2. もともとある保育所などで受け入れられる子どもの人数(「定員」といいます)の増員を行うために増改築したり、(定員増)
  3. 地域の公民館などの余裕スペースを改修して新たな施設をつくったり

するなど、子どもを受け入れられる枠を増やすことです。

 整備する園には、役所が建てる「公立の園」もあれば、社会福祉法人や学校法人、株式会社などがつくる「私立の園」もあります。

 役所は「事業計画」に沿って不足する分を「整備」していかなければなりません。

2.横浜市「待機児童ゼロ」の衝撃

 待機児童解消を目指したこれまでの取り組みで、抜きん出た成果を挙げたのは横浜市でした。

 横浜市は、「保育待機児童解消プロジェクト」を立ち上げ、現場で問題を見ている職員が知恵を出し合って考えた施策を次々と実施し、平成22(2010)年4月時点で1,552人と、全国の自治体で最下位だったのを、わずか3年でゼロにしました。

 「保育所をつくればつくるほど、近くにできたのなら働きたいという女性が増えてニーズを掘り起こし『いたちごっこ』だ」となげく他の役所を横目に、当時の林市長は「申込者が増えるのはいいことで、ウエルカムです。就労したいのに、子どもを預ける場がなくて我慢していたということですから」と答えています(『読売新聞』平成25(2013)年1月24日)。

 これまでいくつもの役所が「待機児童解消は最優先課題」と言いながらなかなか進まなかった泥沼の問題に真っ向から取り組んで著しい成果を挙げたのです。

 この待機児童数というのは、国へ報告する数字であるため、国が定義を定めています。

 この数はイコール「申し込んでまだ入園できていない人」ではありません。

 たとえば、「この保育所しか行けない(あるいは「行きたくない」)」と、特定の保育所を希望して待機になっているが、実は近くの他の保育所なら空いていて紹介を受けたが断った場合などは、国が定義する待機児童には入りません。

 その他にもさまざまな条件があります。

 ですので、ゼロといっても解釈や評価はさまざまかもしれません。

 しかしながら、その国定義の待機児童すらなかなかゼロにできない自治体が多い中での際立った横浜市の取り組みは、全国の自治体に衝撃を与えたほか、政府は横浜市の取り組みを全国の自治体に「横展開」させる方向に動いていきました。

3.女性の就労促進を目指す「待機児童解消加速化プラン」

 平成25(2013)年5月、安倍首相は「女性の活用」を成長戦略の一環に位置づけ、女性が働きやすい環境を整えるということで「待機児童解消加速化プラン」を打ち出します。

 少子化と女性の就労動向などから、平成29(2017)年度が「子どもを預けて働きたい」という保育需要のピークだとみた政府は、横浜市の取り組みを「横展開」させることで、その平成29(2017)年度末には全国の待機児童を解消させると宣言しました。

 そして、全国の役所が今後作成する「事業計画」においても、平成29(2017)年度末には待機児童が解消する計画にするよう指示が出たのです。

 (結果として達成できず、次の「子育て安心プラン」に引き継がれ、目標年次は令和2(2020)年度末に変更されましたが、令和2(2020)年度においても達成できず、さらに先送りされました。)

4.新制度を前倒しした「原則認可」

 ところで、制度上、「事業計画」に沿って整備が行われますので、必要な量が整備できていない区域で「認可してほしい」とどこかの法人が役所に申請を出してこられた場合、認可要件がそろっていれば、その園を認可(平たくいえば「開園(開業)できる」ということです)しなければなりません(これを「原則認可」といいます)。

 どうしてそのような方針になったのかといいますと、新制度になるまでは、「認可」は役所の裁量にまかされている部分がありました。

 たとえば、財政的に工面できないので、待機児童がいても新しく園を建てることを渋る役所もあれば、国は以前から株式会社が保育所を設置することを認めていますが、役所によっては断っている事例もありました。

 政府は、新制度まで待っておられないということで、平成25(2013)年5月の規制改革会議の提言を受け、株式会社立などについて排除することなく新制度の趣旨を踏まえて、原則認可するようにとの指示を出します。

 なお、私の地元の市ではすでに株式会社立の保育所もありましたが、数は多くありませんでした。

 それは、保育所を運営するための費用として役所から受け取るお金(「運営費」といいます)は厳しく使いみちが決まっていることや(「使途制限」といいます)、社会福祉法人のような財産の処分に制約のある非営利法人とは異なり、営利法人である株式会社には、保育所を設置する際の初期投資について国からの補助金も制限されていたからです。

5.待機児童解消への手法

 単純に保育所をたくさん作れば待機児童解消できるではないかと思われるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。

 実際に待機児童解消に向けて、新制度で国が推し進めようとしているやり方はおおきく4つあります。

 一つ目は、認定こども園保育所などを新たに建てること、

 二つ目は、幼稚園を改修して認定こども園になってもらい、長時間受け入れる枠を増やすこと、

 三つ目は、認可外保育施設を改修するなどして、地域型保育事業所や保育所など、役所が「認可」する園になってもらうこと、

 そして最後の四つ目は、それら受け入れる子どもが増えることに対応するだけの先生(保育士や幼稚園教諭)を増やすことです。

 

 1つ目の「認定こども園保育所などを新たに建てること」ですが、0歳から5歳までにわたってまとまって待機児童がある場合、このやり方が当然基本のやり方になります。

 しかし、1つ目のように新たに園を建てようとすれば、その土地を見つけなければなりませんが、なかなか駅の近くなど利便性のよいところではまとまった物件は見つかりません。

 また、すでに幼稚園では、ある程度預かり保育を実施して、フルタイムの共働きの家庭でも利用していたり、パート勤務の保護者の子どもならすでにたくさん通園しているという園もあります。

 そこで、幼稚園を改修して園の調理室で調理された給食を提供できるようにするなど準備を整えてもらって、幼稚園でも長時間の保育が必要な子どもの保育をして、効率的に待機児童の解消につなげようとするのが2つ目のやり方です。

 また、認可外保育施設に改修してもらうなどして、認可の園に格上げして、質の確保された保育を提供してもらうことなども、3つ目として国の進めていることです。

 ただし、これら受け入れの枠を増やしても、肝心の先生(保育士)がいなければ、実際の保育はままなりません。そこで、最後に挙げた保育士の先生の確保が大変重要になってきます。

 

 待機児童解消については、以下の記事も参考にしていただければと思います。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

kobe-kosodate.hatenablog.com

6.女性就労率80%分の保育枠を整備する「子育て安心プラン」

 平成28(2016)年、国は企業主導型保育事業をスタートさせました。これは、保育する人のうち、半数未満は保育士資格を不要としながら、おおむね保育所並みの基準を満たすことを条件に、国から助成金を受けて従業員や地域の子どもを保育するものです。

 次いで平成30(2018)年度からスタートした「子育て安心プラン」。

 目標は、2020年度末までに待機児童を解消し、日本がスウェーデン並みの女性就労率80%スウェーデンの女性就労率は82.5%(2016年調べ))になっても対応可能な保育所などの受け皿確保を目指すというものでした。

 日本の25歳から44歳までの女性の就労率は、平成28(2016)年時点で72.7%、待機児童は令和2(2020)年4月時点でも全国に12,439人いました。

 

(参考 保育所等利用率の推移)

保育所等利用率:当該年齢の保育所等利用児童数/当該年齢の就学前児童数

厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」等より抽出
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 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

子育て支援のイロハ①(子ども・子育て支援の「設計図」)

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 以前に、認定こども園保育所・幼稚園に入園するときの「教育・保育認定」というものについて(1号・2号・3号など)について紹介しました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 また、一部無償にもなっていますので、無償化もみていきました。(新1号・新2号・新3号も少し紹介しています。)

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 しかし、今でも隠れ待機などが問題視されていますので、その点も以前にふれました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 一方で、せっかく入園できても、肝心の中身が子どもの健やかな発達に適わない内容でしたら話になりませんので、その点の役所の役割なども以下の記事などでみていきました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 今回は、それらの前提となる制度の仕組みを、土台から掘り下げて見ていきます。

1.子ども・子育て支援新制度の「起・承・転・結」

 よく「話には起・承・転・結がある」と言われますが、新制度も、この流れを知っていただくことが、遠回りに思えても、日本の幼稚園や保育所認定こども園などがどういうルールの上にのっているのかを知る近道です。

 一般の方にも新制度の手続きをできるだけ分かっていただきたいので、これから新制度を「積み木」にたとえて説明していきます。

 積み木は、下の方から積んでいきます。下の方がグラグラしていたり小さかったりすると、どれだけ上の方に高く積みたくても途中で倒れてしまいます。

 同じように新制度も、下の土台がしっかりしていないとどれだけ上に立派なものを積もうとしてもうまくいきません。

 

 この積み木は一人で作るのではありません。役所がそばでああだこうだ口を出したり手を出したりしながら、園の先生方や保護者と一緒に積み上げていく協働作業です。

 どんな積み木を積んでいって、どんなものが建つのか、これから何回かに分けて見ていきたいと思います。

2.事業計画を策定する

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 まずはじめの積み木は「事業計画」という名前の積み木です。これは横長の形をしています(図1)。(積み木を積んでいった完成版が見えてこないと、この図1だけでは意味不明ですが。。。)

 役所(この場合、市町村)は、まず「子ども・子育て支援事業計画」(略して「事業計画」)を作らなければなりません。

 

 「事業計画」には、

①まず理念」(「うちの地域の子ども・子育てをどうしていくのか」)を文章化し、

②新制度のそれぞれのサポートについて、市民がどれだけ必要としているのか(ニーズ)、

③そして、今のところどれだけ園の数や受け入れできる枠(キャパシティ)があって、

④今後の不足あるいは過剰はどれだけか、その不足分をいつまでに整備していくのか(確保方策といいます)ということを書いていきます。

 また、そこには、幼稚園や保育所が「認定こども園」に看板替えしていくことを、市町村でどのようにサポートしていくのかも書かなければなりません。

 そのほか、

①出産で育児休業に入ったお母さんが職場復帰したいときにスムーズに保育所などに入園できるように、市町村としてどのようなサポートを進めていくのか、

②障がいのある子どもの教育・保育サービスを受ける平等な機会の提供についてどう取り組んでいくのか、

③ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の推進についてなども記載に努めることとされています。

3.国の「基本指針」が新制度の出発点

 平成24(2012)年8月に『子ども・子育て支援法』などの法律が成立し、市民に一番身近な市町村が「新制度の実施の中心」になることは決まったものの、役所はすぐ準備に動き出せるわけではありませんでした。

 まず、国が「子ども・子育て支援に関する基本指針」(略して「基本指針」)を作る必要がありました。

 「基本指針」には、市町村の事業計画に具体的に何をどう盛り込むかが描かれます。そのため、国は平成25(2013)年4月に、全国の学識経験者や幼児教育や保育の団体代表者、自治体の代表らによる「子ども・子育て会議」を立ち上げ、早急に議論を進めました。

 そして、平成25(2013)年8月に『子ども・子育て支援法に基づく基本指針の概ねの案』が公表されます。

 その中で、今後、各市町村が事業計画を作る上で土台となる、市民ニーズを正しく把握するための「ニーズ調査」の調査票イメージなどが示されました。

 こうして、役所はあわただしく「ニーズ調査」の作業へと移っていきます。

4.市民アンケート(ニーズ調査)で「量の見込み」をはかる

 新制度準備の残業から帰宅した私が、家のポストに見つけた役所からの封書。「ニーズ調査」の調査票が私の家にも届いたのです。

 待機児童のニュースなどを聞かれ、はじめから保育所の入所をあきらめておられる家庭や、「近くに保育所ができれば子どもを預けて働きたい」というお母さんなど、現在保育所の待機児童と言われる方以外にも、隠れた保育ニーズがあります。

 それを「潜在的なニーズ」といいます。

 新制度では、潜在的なニーズの分まで保育所などを用意しなければならないとされ、そういったニーズも含め、ニーズ調査で明らかにしようとしました。

 また、そのほかさまざまな子育てに関するサポートのニーズも調査しました。

 私たちの市では平成25(2013)年の秋に、この「ニーズ調査」を実施しました。

 この調査結果の数字がそのまま計画の土台となっていきます。

 その後、技術的な算出方法など、国から助言ももらいながら、どれだけのニーズがあるかをとりまとめていきました。

5.有識者らによる子ども・子育て会議

 事業計画は、役所の担当者の力だけで良いものが作られるものではありません。

 『子ども・子育て支援法』では、自治体にも地方版の「子ども・子育て会議」を設置するように努めるよう定められています。

 「子ども・子育て会議」のメンバーは、学識経験者や幼稚園、保育所、その他児童福祉に従事される先生方、子育て中の家庭の方など、それぞれの役所の方針に沿って選びます。

 「子ども・子育て会議」では、「事業計画」策定に関することを審議するほか、幼保連携型認定こども園の「認可(あとで説明しますが、開園許可のようなものです)」、園の利用定員の「確認(あとででてきますが、税金で運営してよい受け入れ人数を「確認」することです)」などを話し合って審議します。

 

 また、「子ども・子育て会議」は、新制度が始まるまで毎月のように会議を開いていただきましたが、新制度開始前にだけ必要なものではありません。

 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長である奥山千鶴子氏は、「第二ステージに進化させよう!子ども・子育て会議」として、報告書に以下のように述べています。

 現在進行中(※注 この報告書は平成26(2014)年11月発行)の議論が地方版子ども・子育て会議の第一ステージだとすれば、新制度スタート後には第二ステージに入ります。

第一ステージの議論は、時間との闘いでもあり、保育所などの量の議論がどうしても中心になりがちだったのではないでしょうか。ただ、計画は決して「作ったら終わり」ではありません。作った計画に「魂」を込めないといけません。

地方版子ども・子育て会議の第二ステージでは、しっかりと「質」の議論も深めながら、地域づくり、ネットワークづくりを関係者が一体となって語りあうことが重要です。地方版子ども・子育て会議は、子ども・子育て支援新制度がスタートしたら役割を終えるのではありません。むしろ、これからの第二ステージこそが大事です。  

子育て家庭を取り巻く社会環境は、年々変わっていきます。制度もインフォーマルな支えあいも、しっかりその変化に対応できるよう進化させていきましょう!

(『子ども・子育て支援新制度 普及・啓発人材育成業務報告書』内閣府

 近況の報告や事業計画の途中経過の検証状況など、さまざまな議論をとおしてよりよい制度にしていくことが、子ども・子育て会議のこれからの大きな役割になってきます。

6.確保方策の検討

 さきほどの「ニーズ調査」で、今後5年間の潜在ニーズも含めた必要な園の数や利用枠が推計できました。

 それによって、現在と比べて、どれだけ不足しているかが明らかになるはずです。その不足分について、幼稚園や保育所認定こども園や地域型保育事業所など、どのような類型の園を建てて、何年度に何人分の枠を、確保(整備)していくかということを決めていきます。

 たとえば、幼稚園に通園するような子育て家庭のニーズが思いのほか大量にあって、園が不足しているのなら、幼稚園あるいは認定こども園を整備することになるでしょう。

 一方、3歳以上で、ある程度長時間の保育が必要な子育て家庭のニーズが高く、保育の枠が不足している場合には、保育所あるいは認定こども園、また、長時間の預かり保育をしている幼稚園の出番です。

 しかし、2歳までの子どもで、長時間保育が必要な子どもの枠だけが足りないのであれば、0~2歳を対象とした地域型保育事業所を増やすことでも対応可能です。

 実際には、公立園と私立園、幼稚園と保育所のバランス、これまでの設立経緯や地域の方々のご理解など、さまざまなことを考慮して、確保の方策を検討しなければなりません。

7.事業計画の完成

 計画案ができると、一般市民の方にもご意見をうかがいます。

 そうして、いろいろな方々の目に触れご意見をいただきながら、計画は完成していきます。

 なお、都道府県は市町村分をとりまとめた都道府県バージョンの「子ども・子育て支援事業支援計画」を作成します。

 事業計画は公表されていますので、誰でも見ることができます。

 この「事業計画」は、お話ししていく積み木の一つ目です。

 この積み木を置かないと、上に次の積み木を置いていけません。

 ですので、非常に大切なものです。川にたとえるならば、川上・水源地にあたるのがこの「事業計画」といえるでしょう。

8.計画は一年単位で点検、計画の中間年で見直しも

 計画を作ったからには、新しい園を作りたいというお話が事業者(社会福祉法人や学校法人、株式会社など)からあった際は、この計画に照らして必要性を検討しなければなりません。

 また、「事業計画」は5年計画ですので、5年ごとに更新することになっています。

 

 一方で、

 ①一年ごとに、園の整備や事業の実施状況について、子ども・子育て会議で議論していただくとか、利用者の視点に立った指標を使うなどしながら、点検・評価してその結果を公表していくこと、

 ②教育・保育給付認定を受けている方(利用したいという家庭)が、計画時点の見込みよりも大幅に多い場合は、その方々(入園を待っている方々)に対応するために、新たな園を増設するなり、今の園を増築するなりの対応を行うために、計画途中の三年目を目安に、計画見直しを行うこと、

 が定められており、住民目線での機動的な見直しが求められています。

 

 続きの「積み木」は、またの機会に。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

知事や市長の教育行政への関わり度

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 以前、公の学校教育を進める教育行政は、教育委員会が主となっていることをみてきました。

kobe-kosodate.hatenablog.com

 

 今回は、首長の役割について少し掘り下げてみていきます。

1.総合調整権、予算調製権

 自治体の顔は首長(知事や市長など)ですし、教育長や教育委員の名前や顔を全員知っている方には、職員以外でお目にかかったことがありません。

 自治体の教育の仕事について、もちろん首長が無縁ということはなく、まず、首長には「総合調整権」があります。

地方自治法
第138条の3 普通地方公共団体の執行機関の組織は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、それぞれ明確な範囲の所掌事務と権限を有する執行機関によつて、系統的にこれを構成しなければならない。
2 普通地方公共団体の執行機関は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。

 そして、何より「予算調製権」があり、予算の案を議会に上げるのは首長の仕事です。

2.首長(市長など)が行う教育行政の仕事

 公立学校のことなど基本的な教育行政は教育委員会で行いますが、私立学校のことなど、教育委員会ではなく市長部局が所管しなければならないと定められている仕事もあります。
 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(いわゆる地方教育行政法)でみていきますと、以下の仕事が教育委員会ではなく、首長(の部局)の仕事になります。

首長の職務権限(法第22条)
  1. 教育大綱の策定
  2. 大学
  3. 幼保連携型認定こども園
  4. 私立学校
  5. 教育財産の取得・処分
  6. 教育委員会所掌事項に関する契約締結
  7. 教育委員会所掌事項に関する予算執行

 また、最近の法律改正により、法第23条の規定により、地方自治体が条例で規定すれば、以下の事務も首長の職務権限にすることが可能となっています。

  • 図書館、博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関の設置・管理・廃止
  • スポーツ(学校体育を除く)
  • 文化、文化財の保護

 そのほか、委任や補助執行という行政事務上の取り扱いにより、首長(の部局)と教育委員会(事務局)は、事務をお互いに融通しています。

 東京大学大学院の村上祐介准教授も『アクティベート教育学⑤ 教育制度を支える教育行政』(青木栄一編著:ミネルヴァ書房)で、「教育行政は教育委員会のみが所管しているわけでなく、むしろ首長と教育委員会が二元的に管理していると理解した方がよいと考えられます」と言われています。

 なお、最近は、先ほど挙げたような首長権限への移行が進むような法律改正が続く一方で、就学前の教育や保育を教育委員会に集約する市もあります。

3.教育大綱と教育振興基本計画

 地方自治体(首長や教育委員会)が定める方針や計画として、大きいものに「教育大綱」と「教育振興基本計画」があります。

(1)教育大綱

 教育大綱は、地方教育行政法第1条の3に基づき、教育委員会と「総合教育会議」を開いて協議して、市長が定めるものです。平成26年の地方教育行政法改正により、新たに作ることになったものです。地域住民の意向のより一層の反映などを目的としています。

(2)教育振興基本計画

 一方、教育振興基本計画についてですが、国は、教育基本法第17条第1項に基づいて国としての「教育振興基本計画」を策定しています。

 計画期間は5年となっています。

 そして、その国の計画を参考にして、自治体でも地域に合わせた「教育振興基本計画」を策定することに努めなければならないとされています。

 教育振興基本計画は、市長部局ではなく教育行政のだいたいを担っている教育委員会で策定している自治体が多くみられます。

 教育委員会全体の取組状況については、毎年、学識経験者などの意見も取り入れながら、点検・評価して報告書にまとめ、議会に提出し、住民に公表することとされています。

 

 この2つの計画は、市長と教育委員会で行う総合教育会議で議論し、方向性を一致させることが地方公共団体に求められていると言えます。

4.「公教育の政治的中立性」と「国民がのぞむことの反映」

 首長が教育にあまりに口を出すことは、政治的中立性が損なわれるとして、一般に教育サイドからは疎んじられるのかもしれません。異論、反論もあると思いますが、少し掘り下げてみていきたいと思います。

 教育基本法では、「教育は不当な支配に服することなく」行われるべきものであるとされています。

 そして、以前の記事でご紹介したように、中立性の確保の趣旨も含めて教育委員会制度ができています。

 一方、先ほど「地方自治法」で紹介しましたように、首長は、教育委員会を含むすべての執行機関をまとめる地方自治体の顔として存在します。

 そして、教育委員会の予算を用立てる権限は市長にあります。

 「総合教育会議」を開いて、教育全般の意見を教育委員会にも言うことができ、教育大綱を策定します。

 教育行政の執行管理は教育委員会に任されているものの、教育委員会の構成や大きな施策の方向性は市長が関わることになっています。

 よって、市長が教育について意見を述べたり、大きな方向付けをすることになんら問題はなく、市長と教育委員会の関係において健全だといえます。

 一方で、その意見に教育委員会が忖度して動いたりするのでなく、専門性を持つ立場として教育委員会が判断・行動することが、そこに付いていきます。

 地方教育行政法が改正され、首長が教育大綱を作ることになったり、総合教育会議を開くようになったりしたのは、いじめへの対応など教育委員会に対する批判が発端です。

 教育委員会は責任所在があいまいで、動きが遅く、国民意識(民意)からかけ離れている。そういうイメージを国民に与えました。

 このテーマで提起される問題は、

  • 「教育の政治的中立性」

=子供たちには政治的に偏らないことを教えなければならないのではないか(政治家である首長は、教育に口出ししてはいけないのではないか)

ということと、

  • 「民意の反映」

=国民がのぞむことや、思っていることを首長が代弁することで教育内容に反映させるべきではないか

という双方の考え方を、どう折り合いをつけるかにみえます。

5.親、国、その他大勢(民意)が、その子どもの教育内容にどのように関与する立場にあるのか

 論点は少しずれますが、子どもの親、国、そしてその他大勢(民意)が、その子どもの教育内容にどのように首をつっこむ立場にあるのでしょうか。

 過去の裁判結果を紐解きますと、まず、「教育を施す権利というのは、教育を施す者の支配的権能ではなく、子供の学習する権利に対応して、その充足をはかりうる立場にある者の責務」なのだと言います。

 いわば権利にあらざる権利であり、教育における親や国・自治体の権利・権限は、それぞれの責任を果たすための権利だというわけです。

 そして、

 親の教育を施す権利は「家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれる」

 また、国は「子ども自身の利益の擁護のため」や「子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため」、「必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有するものと解さざるを得」ないとしています。

 この「子どもの成長に対する社会公共の利益と関心」(=民意)を反映させて、国が教育施策を進めるのだと読めます。

 1+1は民意がどうあろうと2です。政治的な問題については、国をパスした教科書の中から、教育委員会が選んで採用し、学習指導要領にのっとり、子供たちに教えます。
 一方、ICTをもっと活用すべきかどうかとか、子どもたちを取り巻く環境、価値観、家庭環境の急速な変化の中で、生活面の指導・支援をどうしていくのか、また、地域の教育環境を自然環境も含めてどのように整備・保全していくかなどについては、時代の動静や経済の動向に敏感な、いわゆる民意の反映が前提となってきます。

6.まとめ

 首長は、公教育に対して確かに指揮命令は及ばないことになっていますが、幅広く住民の命や財産を守る責務を担っていると考えると、いじめや体罰、また、学校施設の安全面など、児童生徒の命を守るという観点からは口を出せないはずがなく、そこで、地方教育行政法に定める、首長と教育委員会で行う「総合教育会議」にも、「教育を行うための諸条件の整備」とか「児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に構ずべき措置」などが、協議する事柄として挙げられています

 あらためて、首長と教育委員会の円滑なコミュニケーションと、教育委員会の専門性・信頼の構築が大切だということが見えてきます。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。(^^)/

学校の組織が役所にわかりづらいところ

 私の好きな万城目学さんの本に「鹿男あをによし」(幻冬舎文庫)があります。

 この本に、大学の研究室を追われた主人公が、奈良の女子高に赴任し、非常に苦労する始めのあたりで、

 それぞれがそれぞれのやり方でおれを心配してくれる。されど、他の教師の指導内容に踏みこむことは非常にデリケートな問題を孕むので、誰もが外側からおれをのぞきこむばかりである。藤原君ですら、境界線の手前でかりんとうの瓶を脇に佇んでいる。きっと皆、おれから話し始めるときを待っているのだろう。だるまやかりんとうは、いつでも話を聞く用意があるというサインなのだろう。

(出典元:万城目学鹿男あをによし幻冬舎文庫

というくだりがあります。

 私を含めた役所の人間が、学校と一緒に教育行政をよい方向にもっていこうとするときには、お互いの理解が欠かせませんが、とり挙げた「鹿男あをによし」の文章にみえる「教授の自由」の概念を含み、学校の組織や教師の立場、意識についてはなかなか分かっていないことを反省します。

 

 以前の記事で、役所(自治体)で教育行政を行うところとして、教育委員会についてふれました。

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 今回はその続きです。

 教育委員会と学校の関係と、学校の組織的なところをみていきます。(またもや一般の方には退屈な話かもしれません。。。ご了承ください。)

1.教育委員会事務局

 教育委員会には、その事務を行う職員の集まりがあり、それを「教育委員会事務局」といいます。教育委員会事務局は、教育委員会の内部組織です。

 ちょうど首長(市長など)の手足(補助機関)である職員が、首長の名前で仕事をするように、教育委員会事務局職員は教育委員会や教育長の名前で仕事をします。

 また、学校などをしっかりサポートし、指導できるよう、事務局に指導主事などがいます。

2.学校

 教育委員会が管理し、責任を負っているものに学校や公民館などの教育機関があります。

 教育機関の中でも、子供たちの教育にとってきわめて重要な学校は、教育の実践が行われる場であり、教育委員会やその事務局の取組・施策は、紙や資料の上ではなく、学校現場でこそ具現化されなくてはなりません。

 学校の種類については、次の記事で簡単にふれていますので、そちらもみていただければと思います。

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 学校には、校長がおかれます。

 校長は校務をつかさどり、学校の所属職員を監督します。

 市役所にはさまざまな出先機関や事業所とよべるものがありますが、学校教育法などの法令にもとづき、学校内のさまざまな権限と責任が、学校の長である校長にあり、学校現場の実情に応じて、校長が責任をもって対応するようになっていることが、学校の大きな特徴です。

 たとえば、学校内の人事や仕事の分担(「校務分掌」)は校長が定めることになっていますし、地域の実情や学校の児童生徒の状況に応じて、子供たちに行う教育課程を編成することも校長が行うことになっています。

 

【図】教育委員会と校長の権限

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3.学校が鍋蓋(なべぶた)組織だと言われること

 学校は、どのような組織で運営しているのでしょうか。

 役所などの人間は、組織というと、責任の所在を明確にするものとして上下関係がはっきりした以下のようなピラミッド型の組織をイメージします。

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(出典元:文部科学省 マネジメント研修カリキュラム等開発会議(H17.2月発行)「学校組織マネジメント研修 ~すべての教職員のために~(モデル・カリキュラム)」より)

 

 そのような目線で学校の組織図を描くと、(いろいろなパターンがありますが)例として以下のような図になります。

 

【図】ある小学校の教職員をピラミッド組織として書いた例

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 親は学校と教師に教育を信託しており、教師はその信託に基づいて、各学級や子どもたちの状況に合わせ、また、教師の創意工夫で授業をしていきます。

 学年世話係や学年主任は、それら教師の学年内の相談・調整役や情報共有などを担っています。

 

【図】ある中学校の教職員をピラミッド組織として書いた例

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 一般的に中学校では、(小学校でも少しずつ広がっていますが)教科ごとに担任をしていますので、学級担任や学年主任は、教科担任をしながら、この図にあるようなクラス担任や学年全体をみる役割を担っています。

 このように見ますと、校長・教頭がぽつんと上にある以外は横並びで、たしかに鍋のフタのようにみえます。学校が鍋蓋(なべぶた)組織だと言われることがよくわかります。

4.学校はマトリックス組織 

 学校が鍋蓋(なべぶた)組織だと言われるのは、別の観点もあります。

 学校では校務分掌として仕事・役割の分担がなされますが、一例として、教職員は、以下のような部や委員会に属してその校務にあたっています。

 

(ある中学校での部や委員会の例)

 ※部を一般的に置かない校種もある。

 ※委員会はもっと多岐にわたっているが省略している。

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 あくまで一般的な話ですが、ピラミッド型組織のように、組織の上位者と下位者を結ぶ線に沿って仕事が降りてきたり、成果が上がっていったりするというよりも、学校では、教職員個々人に役割が複数分担され、その役割ごとの取りまとめ役もバラバラの教師が担うため、私(教師)の仕事の進捗はあの上司がすべて細かく把握しているということにはなりません。

 ですので、学校の組織を理解するには、ピラミッド型の絵に落とし込むよりも、以下の図のほうが的確に示すことができているように思います。

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(出典元:文部科学省 マネジメント研修カリキュラム等開発会議(H17.2月発行)「学校組織マネジメント研修 ~すべての教職員のために~(モデル・カリキュラム)」より)

 学校では、仕事が学年・教科・行事や取組などの要素で、網目状に調整が必要なため、「あの学級担任の仕事の状況は、全部あの学年主任がわかっていて・・」というピラミッド組織は難しいのだろうと思います。

 一方で、個々の教師の責任感と、ミドルリーダー(中堅の立場の方)が課題認識をもって組織を活性化させることにより、マトリックス組織は非常に機動的に動く側面があるように思います。

5.まとめ

 私は区役所や支所・出張所で、住民票や戸籍、マイナンバーなどの窓口や事務処理に従事していたことがありますが、その時には、えらくもない立場の私にすら、その私の指示を受ける立場の職員が20人以上いました。ですので、鍋蓋組織ということだけで言うと、別に学校の専売特許でもない気がします。

 ですので、学校の組織が役所の職員にとって分かりづらいのは、鍋蓋組織だからというよりも、役所の人間がよく知るピラミッド組織ではなく、どちらかというとマトリックス組織だからだということではないでしょうか。

 

 ここまで読んでいただきありがとうございました。(^^)/